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サンタクロースはどこに?


 ある小さな村にひとりのおじいさんがいました。
とても、働き者のおじいさんです。
今日は天気がいいので
さるの『いちろう』と共に
山のゴミ拾いにでかけました。
「いちろう、いい天気じゃなぁ」
「うん、とっても気持ちいいね」

いつの間にか、おじいさんのゴミの袋も、いちろうのゴミの袋も、いっぱいです。
「ここらで、一休みしよう」

 どっこらしょと、おじいさんは切株(きりかぶ)に、腰をおろします。
おじいさんが、いちろうと一緒に食べようともってきたお弁当は、梅干いりのおにぎりと、たまごやき、デザートには、まるごとの柿です。どれも、とてもおいしそう!!
中でも、デザートの柿は二人の大好物!
でも、優しい二人は、お互いに食べさせようと譲り合い。
「おじいさん、どうぞ」
「いちろうこそお食べ」
おやおや。
柿の譲り合いが、いつの間にかキャッチボールに。
とても、楽しそうです。
「いくよ〜!」
「あっ!」
おじいさんの、受けそこなった柿がころころころ・・・。

「待て〜!」
ドスンッ!
「あいたっ! う〜ん、人がせっかく良い気持ちで昼寝をしていたのにぃ、、、。」
小さな目をますますしょぼしょぼさせて、おでこをさすりながら地面から顔を出したのは、もぐらのもぐすけです。
「、、、おやぁ。 これはこれは、おいしそうな柿だぁ。」
ところが柿は、まだ止まりません。
ころころころ・・・。
「待て、待て〜」
もぐすけは、おおあわてで、とくいのトンネルをほって柿を追いかけます。
おじいさんといちろうも、いっしょうけんめいに柿を追いかけます。
「待て、待て〜!」
すると柿は小さな女の子の足元で、やっと止まったのです。
「つかまえた!」
一番にとびついたのは、いちろう。女の子は大きく目を見開いて驚いた顔をしています。
「いやあ、驚かせちゃったね」
おじいさんからわけを聞くと、女の子はクスッと笑いました。
「こんなところで、何をしてるの?」
もぐすけが聞くと女の子は答えます。
「わたし、このモミの木を運ぼうと思ったのよ。でも、とても重くてひとりでは運べそうもないの」
おじいさんと、いちろうと、もぐすけは、顔を見合わせました。
それから
「ぼくたちが、手伝ってあげるよ!」
「ほんとう?!」
女の子は大喜び。

 おじいさんが、柿を4つに分けると、みんなでそれを食べて
「さあ、はじめよう!」
おじいさんのかけ声で、みんなでモミの木を運びます。
「うんしょ!よいしょ!」
「おうちはどこ?」
おじいさんが女の子にたずねました。
「あの川を渡ってすぐよ。今ごろお母さんが
ケーキを焼いて待ってるはずなの。みんなで食べていってね。」
と女の子が言いました。

 モミの木は部屋に飾られ、みんなはケーキをいただきました。
「それにしても、このモミの木、何かのまじないかい?」
おじいさんの言葉に、女の子は驚いてしまいました。
「クリスマスを知らないの!?」
「、、、ふむ? くりすます、、、?」
おじいさんといちろうは、顔を見あわせて首をかしげています。
「ぼく、いつも土の中にいるからなぁ。 根っこは見た事あるけどこんな大 きなモミの木なんて初めて見たし。 ぼくも、クリスマスなんて知らない。
栗とかリスの親戚か何か?」
もぐすけは、ケーキを「もしゃもしゃ」ほおばりながら言いました。
女の子は笑い転げています。
笑いつかれた女の子はやがて、まじめな顔をして座りなおすと、おじいさんといちろうともぐすけに話し始めました。
「クリスマスってね、神様のお誕生日をお祝いする日なの。」
「神様のお誕生日?」
いちろうが言いました。
「そう。 イエス様のお誕生日。 その前の日の晩には、楽しい事もあるしね。」
「楽しい事ってな〜に?」
もぐすけが目を輝かせながら言いました。
女の子は、モミの木の飾りつけを始めました。
モミの木の飾られるようすを、みんな目をまるくして見ながら、手伝い始めます。
そして、クリスマスのこと、サンタクロースの話を聞いたのです。

 帰り道。
いちろうが聞きました。
「おじいさんは、サンタさんに会ったことあるの?」
「ふむ。。。
ずいぶん昔のことだが。。。
あれはサンタさんという人だったのかのう?」
おじいさんは、思い出しました。
「じゃあさ、プレゼントもらったの?」
「はて・・・」
「どんな人だったの?
「はて・・・」
いちろうも、もぐすけも、じれったくてしかたありません。
(いちろう、ね、いちろうってば!)
もぐすけは、いちろうをこっそりつつきました。
(なに、もぐすけ?)
いちろうも、ひそひそ、、、。
「今日も、よく働いたね」
もぐすけと別れて、おじいさんといちろうは、家に帰りました。

 なんだかもぐすけは、そわそわと落ち着かないのに、おじいさんは気づきません。
温かな夕食が済むと、おじいさんはうとうと・・・。
するといちろうは、こっそり家を抜け出したのです。

外では、もぐすけが待っていました。
「遅かったね」
「ごめん、ごめん」
「さあ、行こう」
いちろうともぐすけは、どこへ行くのでしょう。
外ははいた息が白くはっきりと見えるくらいの寒さでした。
いちろうともぐすけは歩き始めました。
ピョンピョン。白うさぎが道を横切っていきます。
そこは、女の子の家でした。

「ここで見張ってたら、間違いないよね」
「うん、絶対だよ。絶対サンタさんに会えるよ」
いちろうも、もぐすけも、サンタさんに会ってみたかったのです。
2匹は庭の植え込みの陰に隠れると、ピッタリと体をよせ合って座り、待ちました。
どのくらいの時間がたったでしょう。 「おや? この冷たい白いの、何?」 もぐすけが、そっと、いちろうに聞きました。
いちろうが見ると、もぐすけの鼻の頭にキラッと光り、そして、スッと消えていったものがありました。
「あ、もぐすけは、いつも冬は土の下で眠っているから、雪を知らなかったんだね。」
見上げると、きんっと冷たく暗い空から、ちらりふわりと白いものが舞い始めていました。
「へぇ〜、これが雪っていうのか〜。」
2匹は、静かに空を見上げていました、、、。
「寒いね・・・」
「うん・・・」
とってもとっても寒くて、いちろうともぐすけはプルプル震えました。
「あれ? 何か聞こえない?」
いちろうは、耳をすませました。
「そうお?」
もぐすけも、耳をすませました。
リンリンリンリン。

かすかに聞こえる鈴の音。
そしてその音がだんだんだんだん大きくなってきます。
ところがどうにも眠くて、目をあけていられません。
「眠っちゃダメだよ」
「そうだよ。きっとサンタさんだよ」
「ムニャムニャ・・・」
「ムニャムニャ・・・」
いちろうともぐすけが、夢の世界へ着いた頃、
トナカイ達が引くサンタさんの大きな赤いソリが、
女の子の家の屋根の上空に、ふわりほわりと降りて来ました。
サンタさんは、うずくまっている2匹を見下ろすと、
「ふぅ、、、なんとか見られずにすんだわい。」
と、ひとり言、、、。
「もぐすけが、呼びに来ているよ」
おじいさんに起こされて、いちろうはびっくり!
いつの間にかベッドの上で、あたたかな毛布にくるまれていました。
窓の外は雪で真っ白に輝いています。
もぐすけが「こっち、こっち」と合図しています。
いちろうは、いそいで庭に出ました。
「あ!」
いちろうは目をこすりました。
「サンタさんだ!サンタさんが来てくれたんだよ!!」
もぐすけが興奮気味に叫んでいます。
もぐすけといちろうは、キラキラした瞳をしていました。
おじいさんは、その瞳の先を見渡しましたが、
何も見えません。
ただ、真っ白い雪だけが庭に降り続いているだけでした。
「ぼく、忘れないよ」
いちろうは、思い出したのです。
きのう眠りながら聞いたリンリン鳴る鈴の音。
「ぼくだって、忘れないよ」
もぐすけを、やさしく運んでくれた腕。

サンタさんは、雪の中で眠りかけた、いちろうともぐすけを、暖かなベッドまで運んでくれたのです。
「でもぼく、うっすらと覚えてるサンタさんの顔が、おじいさんに見えたんだよ」
いちろうがいいました。鼻のいいもぐすけは
「うん。暖かい腕の中が、おじいさんとそっくりな匂いだったよ」

「お〜い。朝ごはんだよ〜。
もぐすけも、食べていきなさ〜い」
おじいさんが呼んでいます。
「は〜い!」
「は〜い!」
二匹は駆け出します。

白い雪の舞う、遠く高い空から、リンリンと鈴の音が聞こえるような気がしまし た。


リンリン…
リンリン…





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