「DAY FOR NIGHT」20世紀最後の特集

期間限定特別企画(2000年12月4日〜12月31日)

映画の21世紀

The 21st Century in the Movies


信じがたいことに、あと1月足らずで21世紀。こんな日がいつかやってこようとは、みなさん思っていらっ しゃいましたか? さて、20世紀最大の発明・映画は、その100年あまりの歴史の中でたびたび21世紀を描いてきました。その21世紀を目前にして、果 たしてそれらの予想は当たっているかどうか? 映画が見つめた21世紀をこの機会に振り返ってみるのはいかがでしょうか?


CONTENTS

 

「2001年宇宙の旅」で21世紀を語る・・・?

そんな、ナンセンスな!

It's the Biggest News in the Human History

"2001: a Space Odyssey"

澤田 英繁 by Hideshige Sawada

 

A.D.2001

21世紀は「Hole」からやって来る!

The 21st Century Is Coming from "The Hole"

ねご by Nego

  

A.D.2019

日本趣味あふれる「ブレードランナー」の世界

Full of Japanese Angles - the World of "Blade Runner"

ダニエル・ガーバー by Daniel Garber

English Version

  

A.D.2026

21世紀への警告「メトロポリス」

The Warning of "Metropolis"

あむじん by Amujin

 

A.D.2029

「ターミネーター」の21世紀観

The Expectation of "The Terminator"

ケンケン by Kenken

  

A.D.2035

どこかレトロな「12モンキーズ」の景色

Something Nostalgic in "12 Monkeys"

野辺 香 by Kaori Nobe

 

A.D.2040

人間は変わらないと教えてくれる「イベント・ホライゾン」

The Fear in "Event Horizon"

コージ by Koji

  

A.D.2070

「パリの確率」のクラピッシュ的楽観主義

The Optimism in "Peut-Etre"

あつし by Atsushi

  

??????

アトムのいない韓国映画

Korean Films Have No Astroboy

まるは子 by Maruhako

 

??????

たとえDNA一個になっても、ヒトは誰かを求めてる

「ガタカ」にこめられたメッセージ

The Human Nature . . . .A Massage from "Gattaca"

夫馬 信一 by Shinichi Fuma

 

 

(C)2000 Hideshige Sawada, Nego, Daniel Garber,

Amujin, Kenken, Kaori Nobe, Koji, Atsushi, Maruhako

and FUMA'S WORKSHOP


 

 「2001年宇宙の旅」で21世紀を語る・・・?

 そんな、ナンセンスな!

 It's the Biggest News in the Human History

 . . . . ."2001: a Space Odyssey"

 澤田 英繁

 by Hideshige Sawada

 

 半世紀前まではSFなんてものは、文字通り空想でしかなかった。ところが、69年、空想が現実になる。人類が月 面に到達するのだ。H・G・ウェルズの科学小説が売れていた頃は、どう考えても人が月へなど絶対にいけるはずがないと思われていたわけだから、これがいか にとんでもない大事件だったか。地球人が別の星に進出・・・。これは20世紀最大ニュースであり、「人類史上最大のニュース」でもある。

 この事件以前に作られたSF映画の中では最も新しい作品にあたる「2001年宇宙の旅」は、それまでのSF映画の概念を根底から覆したキューブリックの大傑作なのだけど、これが月面着陸の前年に発表されたものだとは、何とも運命的な気がしないでもない。

 この映画で描かれていたテーマは、「人類史上最大のニュース」、これである。この物語は、人類が別の世界へと旅 する映画なのである。ひとそれぞれ内容の解釈は異なるが、僕としては、同作は人類の進歩を恐怖と恍惚の中に描いた体感ドキュメンタリー映画だといいたい。 この映画で我々が「人類史上最大のニュース」を目の当たりにするのだ。

 「2001年宇宙の旅」の舞台となる年代は21世紀最初の年である。にしては、作品で描かれている世界観は科学 的進歩が妙に目覚ましい。キューブリックの場合は、むしろ未来の生活感をスケッチすることよりも、黒石板などのオブジェなどで普遍的なSF世界を構築する ことに熱心なように思える。たとえ人類が22世紀を迎える時も、この映画は人々に新しいインスピレーションを与えてくれるに違いない。だから、この映画を 「21世紀を描いた作品」としてしまうのは、僕としては、少しばかりもったいない気持ちもしていた。

 言ってしまえば、「2101年宇宙の旅」でも「3001年宇宙の旅」でも何でも良かった。たまたま2001年 だっただけだ。その証拠に、この映画のテーマである「人類史上最大のニュース」は、主人公が時空を超えてから実現する。こうなっては、この映画で21世紀 について語ることは、はなからナンセンスになってくる。

 だがキューブリックは、そこで敢えて2001年としている。これは興味深いことだ。つまり、描いている世界観 を、たった33年後の身近な未来に置いてしまったのだから。この身近さは、現実と空想の両要素を持たせる結果となった。例えば、「美しく青きドナウ」に乗 せて描く造形豊かなシークェンスは、非常に現実的であるが、それでいて空想的でもある。

 この映画は、舞台が2001年だからこそ、我々に21世紀の在り方を考えさせる余裕を持たせた。だが、この映画 の世界は21世紀に限定はできない。その普遍性がこの映画の哲学観を膨らませており、だからこそ面白いのである。 敢えてこの映画で描かれた21世紀につ いて語るなら、ここでいう21世紀とは、人類が新人類へと進化するためのターニングポイントである。猿が人間に進化するまでには長い歳月がかかったが、 2001年、人間は一瞬にして新人類へと進化するのだ。現実にそんなことが起こるわけはないが、キューブリックは21世紀に人類史に異変がおこることを暗 示している。月面着陸の想像を絶する大ニュースが待っている。キューブリックはその結果を見ることなくこの世を去った。

 それにしても、21世紀を迎えてからこの映画を見ると、やはり見方が変わってしまうのだろうか。「2001年宇 宙の旅」は今までは我々に、近い未来について考えさせた。それが同作を哲学の粋にまで発展させた。今度は我々はこれを見て、過ぎ去った過去について考えさ せられることになる。そして、さらにこの映画は神格化されていくに違いない。

 

 最後に、夫馬さんから、まだまだ若輩者の僕に「「2001年宇宙の旅」について執筆してほしい」とメールが来た のは、とても光栄でありました。なぜなら、「2001年宇宙の旅」は、20世紀最高の映画、いや人類史上最高の映画といえるからです。だいぶテーマとずれ た辻褄の合わない文になってしまって、申し訳ないですが、書いていて楽しかったです。ありがとうございました。

 

●澤田 英繁

熊本県出身の澤田さんのサイトは、映画や映画人の事についての話題を満載した、とてもオーソドックスでストレートな内容のページです。

 

映画の情報サイト

http://www.nona.dti.ne.jp/~hideman/ 

 


 "The Hole" 

 "Blade Runner" - English Version

 "Metropolis"

 "The Terminator"

 "12 Monkeys"

 "Event Horizon"

 "Peut-Etre"

 Korean Films

 "Gattaca"

 

  

 to : Project F - Special Issues

 to : Project F - Index

 

  HOME00

 

Ads by TOK2