The KYOKO KAGAWA Empire

 「杏っ子」

  Anzukko

 (2002/05/20)


(1958)東宝

監督:成瀬巳喜男/製作:田中友幸/脚本:田中澄江、成瀬巳喜男/原作:室生犀星/撮影:玉井正夫

出演:山村聡、香川京子、木村功、夏川静江、太刀川洋一、中北千枝子、三井美奈、藤木悠

 


 今回の香川京子の役どころは、有名な小説家(山村聡)の娘。そろそろお年頃とあって見合い話が持ち上がったり、気になる男が現われたり…。そんな彼女にナイーブそうな文学青年(木村功)が恋をする。かわいくて清純な小説家の娘とナイーブな文学青年とくれば最高の組み合わせだと思っていると、これが予想外の事態になるわけ。

 香川京子と結婚して小説家の家に出入りするようになる木村功は、すっかり自分も小説家になる決意が固まる。そういう仕事をしている人間がごく身近になったんだから、なおさらだよね。ところがこの木村功、作家になるには致命的に才能がない。山村聡の口利きで出版社を紹介されたりするが、どこもここも冷たく原稿を突っ返す。それなのに、木村功はロクすっぽ働こうという気も起きずに夢ばかり追って作家ゴッコを繰り返し、うまくいかぬと女房の香川京子に当たり散らす。だが香川京子は何度か彼を見限ろうとしながら、見捨てることができない。当然生活も困窮してくる。見るに見かねた父親の山村聡は自宅の離れに彼ら夫婦を住まわせるが、この偉大な「先輩」であり「義父」である山村聡の存在が面白くない木村功は、その娘の香川京子に当たり散らしただけではモノ足りず、荒れ狂って山村聡が丹精込めて手入れした家の美しい庭をメチャクチャにする。それでも義父の山村聡は黙って見守るしかなかった…。

 どう転んでもシケた小物人間の薄汚ないコンプレックスをこれでもかこれでもかと描き抜いて、気がめいるけど迫力あり。木村功は映画の前半では実に好青年なだけに、そうしたコンプレックスが人間を歪めていく姿が異様なリアリティとパワーを持つ。生活力も才能もないけどグチを言うのと逆恨みは人一倍という、ムカつき度120パーセントの不快な男を熱演。僕なんか一応モノ書きの端くれだけに、人ごとじゃなく笑ってられないけどね。そんなうっとうしい事この上なしのドラマの中、香川京子は前半はハツラツお嬢さん、後半は苦悶する若妻を演じて1ツブで2度おいしい。耐えて耐えて苦しんで嘆いて…かわいい女の子は徹底的にイジめたくなるという気持ちがよく分かるね(笑)。おらおらおら、もっと苦しめ〜(笑)。だが、木村功はブッ殺す(笑)。

 


 

 

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