スケッチ その12
『ミスター・ビグルスの大冒険(Biggles Dictates a Letter)

第3シリーズ:7話より

出演
ナレーター・・・ジョン・クリーズ

ミスター・ビグルス・・・グレアム・チャップマン
秘書・・・ニッキー・ハワース
(※すみません、どなたかこの女優さんの名前の正しい呼び方を教えてください)
アルジー・・・マイケル・ペイリン
ジンジャー・・・テリー・ギリアム
馬鹿(LOONY)・・・グレアム・チャップマン


先日、何気ない会話の最中に、突然このエピソードを思い出し、もういてもたってもいられなくなりました(笑)


激しい空戦のモノクロフィルムに、壮大なテーマ曲とナレーションが重なる。

ナレーション「ミスター・ビグルスの大冒険! パート1『ビグルス、口述で手紙を書く』の巻!」

シーンは基地内の一室。パイロットスーツも勇ましいビグルスと、彼の秘書がいる。


ビグルス「口述を始める」
秘書「承知しましたわ、セニョール・ビグルス」
ビグルス「
(急に血相を変えて)『セニョール』と呼ぶな! 私はスペイン人じゃない。 『ミスター・ビグルス』か『キャプテン・ビグルス』か、もし女房の服を着ている時なら『メアリさん』と呼んでくれてもいいが、『セニョール』だけはよしてくれ」
秘書「すみません」
ビグルス「第一、スペインにすら行った事がないんだぞ」
秘書「あら? 去年イビーサ島に行かれましたよね」



ビグルス「とにかく、『セニョール』と呼ぶのは止せ! 『ドン・ビグルス』も駄目だ! (気を取り直して) 改めて、『親愛なるハーコン王・・・』」
秘書「ノルウェーの?」
ビグルス「言った事だけ書けよ!!」
秘書「今の『言った事だけ書けよ』もですか?」
ビグルス「バカ言ってんじゃねぇよ!!」
秘書「今の『バカ言ってんじゃねぇよ』は?」
ビグルス「
(呆れて)いいか!? 今のはタイプするなよ? (辺りを見渡して)ちょっと待て、いいか?!」


壁に飾ってあった鹿の枝角を手に取ると、おもむろにそれをかぶるビグルス。
ビグルス「俺がこの角つけたら口述してる時で、
(角を外して)外したらそうじゃない時だ!」
秘書「
(タイプを打ちながら)『外したらそうじゃない時だ』と・・・」

注)秘書はビグルスの言いつけを全く逆に解釈しており、以後最後まで逆のままになる(笑)

ビグルス「は?」
秘書「・・・
(黙ってタイプを打つ)
ビグルス「
(角をかぶって)読み返してみろ!」
秘書「『親愛なるハーコン王。外したらそうじゃない時だ。は?』」
ビグルス「違ェよ! このマヌケの売春婦野郎!!」
秘書「
(怒って席を立つ)失礼な! この私を娼婦呼ばわりするなんて」
ビグルス「はん! そんな高級なモンじゃねぇよ、この淫売女! 情夫もめかけも上等すぎらぁ!! ただヤるだけのバカ女のクセしやがって!!」
  


秘書「ふん! そっちこそトンマな架空人物のクセに」
ビグルス「親友のアルジーも『お前はサセ子だ』って言ってたっけかな!」
秘書「あいつに何が分かるのかしら?」
ビグルス「何だと? 俺の戦友をオカマ呼ばわりするつもりか?!」
秘書「オカマなんて上等なものかしら? 単なるホモ野郎のくせに!」
ビグルス「
(インターコムのボタンを押して)アルジー、ちょっと来てくれないか?」
アルジー
(声のみ)「了解した!」
しばらくして、やはりパイロットスーツも勇ましい男(アルジー)が入ってくる。

アルジー「よぉ、何だい?」
ビグルス「お前ホモか?」
アルジー「勿論だとも!」

ビグルスは躊躇なくアルジーを射殺する。



ビグルス「さて、親愛なるハーコン王・・・おっと
(角を付けたままな事に気付き、外しながら)親愛なるハーコン王 先日は美味なるウナギをありがとうございました 女房も大変喜んでいました『まる(句読点の事)』 勿論私もです 突然ですがアルジーはホモでした『感嘆符(!)』 W.E..ジョーンズ大佐が知ったら何と言う事でしょう『疑問符(?)』 全く残念です 所で、芝刈り機を使い終わられたらポストに返却の方をお願いします ビグルスより愛を込めて 亡きアルジーとジンジャーと共に・・・・(はっと気付いて角を被り)ジンジャー!」
秘書「どうされました?」
ビグルス「生姜って意味だ」
秘書「それが何?」
ビグルス「
(またインターコムに)ジンジャー!」
ジンジャー
(声のみ)「な〜に可愛いこちゃん?」
ビグルス「ちょっと来てくれ」

しばらくして、スパンコールをふんだんに使ったピンクのパイロットスーツを身に纏う、なよなよした男が入ってくる。その顔にもラメで星が書かれている。


ジンジャー「何の用?」
ビグルス「お前、オカマか?」
ジンジャー「
(憤慨して)失礼しちゃうわね!!!」
ジンジャーは怒って出て行ってしまう。
ビグルス「うん、彼こそが大英帝国を背負って立つ男だ。どう見てもオカマなんだが」
角を外しながら
ビグルス「親愛なるマーガレット王女・・・」



突然戸棚の中からマーガレット王女の着ぐるみが現れる。
マーガレット王女「お呼びかえ?」
ビグルス「
(角を付けながら)この偽者野郎! 戸棚に戻れ!!」

突然場面が変わり、妙な格好の男『馬鹿』が現れる。



馬鹿「レモンカレー?」

場面は再び基地内の一室に変わり、ビグルスの口述手記が再開する。

ビグルス「親愛なる『本物の』マーガレット王女殿 ウナギをご馳走様でした とても美味で高尚なお味でした『まる』 所で、ヘアードライアーを使い終わりましたら、返却ポストまでお返しください あなたの『架空人物』ビグルスより 追伸、ザクセン・コーブルグのカードゲーム大会にてまたお会いしましょう (角を被って) これは冗談だがな」
秘書「
(セクシーに)シ・セニョール・ビグルス」
ビグルス「黙れ阿婆擦れ!!」



場面はまた古い空戦フィルムに変わり、ナレーションが入る。
ナレーター「来週はパート2『ビグルス落ちる』をお送りします!」
カメラは墜落していく飛行機を追っていきます(笑)

−終わり−

このスケッチの主人公・ビグルスとは、第一次世界大戦時にイギリスに実在したと言われる空軍パイロット。日本で言う所の「大空のサムライ」こと坂井三郎さんのような人でしょうか。関連書籍も多数出ており、イギリスでは知らない人がいない程の英雄ですが、逆に言うとイギリスを一歩出ると、知っている人は誰もいないに等しい超ローカルなヒーロー。その誇張されすぎたエピソードから、今回のスケッチのように「架空の人物」と思っている人もいるらしいです。さらには、今回のスケッチほどではありませんが「男尊女卑」思想の強い人物らしかったそうです。
今回のスケッチの最大の焦点は、このオカマ・ホモを徹底的に嫌う主人公を演じているのが、本物のホモセクシュアルであるグレアムと言う事ですね(笑)
もう一つの焦点である「馬鹿(LOONY:狂人の意味)」ですが(笑)、これを演じているのが同じグレアム。この第三シーズン7話には色々な馬鹿が出てきており(次のスケッチではペイリンが演じています)、唐突に現れて決まり文句である「レモンカレー?」とだけ言って消えてしまいます。ちなみに、この「レモンカレー」と言う言葉自体には全く意味がありません!!(笑)
あ、最後になりますが、マーガレット王女の着ぐるみを着ているのはジョン・クリーズです(笑)


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