スケッチ その5
『劇場のインディアン(Red Indian In Theater)』
第1シリーズ 6話より
出演
観客A・・・グレアム・チャップマン
インディアン・・・エリック・アイドル
支配人・・・マイケル・ペイリン
またしてもミスマッチな話を一つ。といっても、このミスマッチは半端じゃない!! もし、劇場であなたの身に同じ事が起きたら、どうします?
テリー・ギリアムのアニメーション

司会(アニメ)「さて次は芝居小屋のコントです!チャンネルはそのまま!!」
ファンファーレと共にアニメのカーテンが開き、暗転。
場面は劇場内、通路を戦装束に身を包んだインディアン(!)が歩いてくる。空いてる席を見つけた彼は、躊躇いもなくその席に座った。パンフレットを読んでいたAは一瞬ぎょっとする。
インディアン「俺、芝居見に来た。俺、芝居見たい、始めろ、早く」
観客A「あ、あぁ、大丈夫、すぐ始まりますよ」

インディアン「俺、シスリー・コートネッジのファン」
観客A「あ、あぁ、いい女優だよね」
インディアン「名女優。彼女の演技、とても繊細。彼女、声も間の取り方も最高。俺、感心」
観客A「あぁ、すばらしいね・・・」
インディアン「俺の父、赤足族の酋長! 名を『走る牡鹿』! マイケル・デニソンとドロシー・グレイのファン」
観客A「あ、え〜と、その〜、芝居にはよく来るのかい?」
インディアン「月が平原に昇り、山の上でオオカミ唸り、金色の谷に嵐が吹き荒れるとき、俺、客席に行く。2階の正面席、部族一人3ポンド6シリング」
観客A「(身を乗り出して)そりゃ安いな!」
インディアン「支配人のスタン・ウィルソン、いい友達」
観客A「(納得して)あぁ、なるほど」
インディアン「芝居終わったら、サンディ・キャンプと話す。高級バーで酒飲んで、語り合う。彼、いい演出家、すごい有名」
観客A「あ、あ、そう、僕は知らなかった」
インディアン「彼、赤足族に芝居勧めた。『ダイヤルMを回せ』、酋長の『走る牡鹿』、素手でバッファロー殺し、速く走る男、ハーディー刑事の役、とても演技上手い」
観客A「あ〜、君は芝居好きかい?」
インディアン「もちろん! 赤足族、毎日 狩りと芝居」
観客A「戦ったりは?」
インディアン「もちろん!」
インディアン、突然立ち上がり、Aもつられて立ち上がってしまう。
インディアン「『黄色い蛇』が酋長だった頃、『偉大なる鷲』祖先の地に入ると、俺たちポーニー族と戦う! 奴ら、芝居の台本盗んだ! 俺たちポーニー族50人殺す! ポーニー族の死体、毎晩いっぱい、いい宣伝!」
やがて劇場の明かりが、すこしずつ暗くなる
観客A「・・・・あぁ、やっと始まるみたいだ」
インディアンは隣の婦人の持っていたチョコレートの箱を、当たり前のように奪い取る。
インディアン「チョコ食うか?」
観客A「いや、結構」
インディアン「(箱から一個取り出し)この、サクサク蛙、最高」
舞台には支配人が残念そうな表情で立っている。
支配人「開演の前に、皆様には大変残念なお知らせをしなければなりません。ミス・コートネッジが、本日は休演となりました・・・」
突然客席から矢が射られて、支配人の心臓を直撃する。
支配人「ぎゃあ!!」
倒れる支配人の背中にも、すでに数本の矢が刺さっており、インディアンたちの怒りの声が劇場に響き渡る・・・・
END
| 「モンティ・パイソン」の特徴に、1エピソードの中の別個のスケッチの幾つかが、意外な形で関わっているという事があります。今回は、先に紹介した『ウィッゾ・チョコレート株式会社』とリンクしており、インディアンが、あの『サクサク蛙』を美味そうに食べています。インディアンにチョコレートを勧められる男を演じているのが、『サクサク蛙』の被害者・パロット警視と同じグレアム・チャップマンなのが笑えます。ところで、インディアンと言う言葉は、今や死語あるいは差別用語の一種として、あまり使われていません(正しくは「ネイティブ・アメリカン」と呼ばなくてはいけないようです)。今回はオリジナリティを尊重する事と、「その方が分かりやすいじゃん」と言うわけで、そのまま「インディアン」と表記させていただきます。 |
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